黎明
インナーに袖を通しながら、昨日のことを振り返る。男と寝たのは初めてじゃないが、昨日のはいつもと何かが違った。なんというか・・・・・・気持ちが通うと、段違いだ。「死にそう」とか、そんなとんでもないことまで口走った気がする。まぁ、あんなに大泣きしたあとでは、どんな痴態も醜態も、どうでもいいことかもしれない。そもそも自分から誘っておいて、羞恥も何もあったものじゃないだろう。
初めてアキラにあった時、カズイと似ていると思った。実際、今アキラの顔を見てもその面差しは瓜二つで、どうしても重ねずにはいられない。かつての優しい記憶とダブらせて、リンは小さく唇を噛む。
似ている。けど、似ていない。カズイでは、アキラのようには出来ない。
アキラはアキラだ。カズイじゃない。自分を星まで連れて行ってくれると約束したあの男は、とうの昔に死んでしまった。憎しみが煮詰まるほどの期間が経ったって、カズイの顔も声も仕種も鮮明に思い出せることに変わりはない。でも、カズイは死んだ。
自分が殺したんだと、思っていた。シキを憎むと同時に自分を憎んで、死ぬためだけに、この街で生きてきた。
そんなリンを、躊躇なく引き止める。身体まで繋いでしまった今となっては、リンをつなぎとめる唯一のものに、アキラはついぞなってしまったのだ。変な奴。でも、惹かれてやまない自分がいる。
だって、このアキラという男は、「殺していい」などという殺し文句を平気で言うのだ。いくら突き放したって意味がない。追ってくる腕や声はとても力強くて、でも優しくて。
まだ眠るアキラの方を振り向いて、リンはそっと微笑んだ。
アキラが起きたら、ちゃんと言おう。やっぱり、シキを殺しに行くと。
何を言われるかなんてわかりきってはいるけれど、でも、決着はつけなければならない。これは意地だった。そして、最後のけじめだった。
きっと、アキラは止めるだろう。この街を一緒に出ようと、必死に食い下がってくるだろう。でも、リンはわかっている。
その腕を、最後には放してくれることも。
アキラは結局、リンを行かせてくれるに違いない。拘束するなり昏倒させるなりすればそのままこの危険な街から逃げられるというのに、そうせずに、アキラは泣きそうな顔でリンを見送ってくれるんだろう。優しすぎて、繋ぎとめるには強引さが足りないのだ。そんなアキラを可笑しいとも思うし、愛おしいとも思う。
その代わりに、約束をしよう。
必ずアキラの元へ帰るよと、まっすぐに目を見て言おう。それがリンの力になって、アキラの鎖になるに違いない。きっと、リンを長い間忘れさせないための、重すぎる枷になる。――――こんな時まで、自分は姑息だ。信じるとは言いつつも、心の奥底ではいつも裏切りを恐れている。
本当は、わかっている。約束などなくても、アキラがリンを裏切ったりしないことなんて。
だからこんなに、愛おしい。
裏切ったら殺してもいいだなんて、そんな口説き文句、知らなかったよ。
ずっと孤独の中にいた。心が渇いて渇いて、ひび割れてしまっていたのだ。そこに、思いがけず暖かな雨が降る。どれだけ突き放しても追いかけてくるような、そんな錯覚を覚えるほどに強く、水滴は地面を打って。
泣きたいくらいに、これだけはわかる。
こんなに深く、愛してしまった。
身じろぎをして瞳を薄く開いたアキラに甘く微笑み、リンは愛しさと感謝をこめて、その名前を呼ぶ。
「・・・・・アキラ」
ほら、起きてよ。
夜明けが、もう近いんだ。
アキリンというか咎狗自体、二次創作したのは初めてです・・・・・・チャレンジャーにもほどがある。
リンルートは、エロよりも心の通い合いの方に重点を置いてくれているところがいいと思います。同じ理由で源泉やケイスケルートも好きですが、リンルートは別格で。シキは苦手です。痛いのは嫌いなんだよ・・・・・・
アキリンは歌で何かネタ、というよりは、ゲームのリンルート全体が「眩暈」っぽいなぁと思います。どこをどう取ったって切ない。そこがいいリンルート!(どうした)
リンが好きでしかたがないんですが、周りにBLゲームをやってくれる友人なんていない上、やっている人はことごとく趣味嗜好が違います。リンルートだけでいいからやってくんないかな・・・・・・。